見過ごされた貧血!上級編
貧血と一度も診断されたことはないのに
子宮頸がんを発症した30代女性が受診しました。
子宮頸がんの原因は「
ヒトパピローマウイルス」というウイルス感染です。
特別、致死率の高い深刻なウイルスというわけではありません。
性交渉経験者の80%以上が感染する、ごくありふれたウイルスです。
80%以上の女性がウイルス感染していますが
子宮頸がんを発症するのはそのうち10%未満です。
免疫力があれば感染してもウイルスは自然消失します。
つまり、よほど免疫力の低い人が発症してしまうと考えられます。
「免疫力が低い」とはどのような状態か?と言うと
その代表的症状が「
貧血」なんですね。
なのに見過ごされていました・・・。
11月1日に分子栄養学の講演会を開催します。
ただ今、準備中!
Aさんのヘモグロビンは13.5と健康的な数値。
しかも貧血の種類を見極めるMCVもちょうど平均値。
見た目は、模範的な血液検査なんですね。
でも、フェリチンは基準値以下の鉄欠乏なのでした。
興味深いのはHbA1cの数値。
なんと「Lマーク」に注意喚起の「#マーク」がつくほどの深刻な底値。
HbA1cは「糖尿病かどうか」の指標なんで
ブドウ糖が少ないの?って疑問に思うかもしれませんが
違うんですね~。
そもそもHbA1cと言うのは、血中のブドウ糖が赤血球のヘモグロビンと結合してしまった
役に立たないヘモグロビンのこと。
ブドウ糖はタンパク質とくっつきたがる性質がありまして
血中から取り込まれずにホロホロしてたらヘモグロビンとくっついてしまうんですね。
赤血球の寿命は約4ヶ月なんで
取り込まれなかったブドウ糖の過去2~3ヶ月かな~って予測できる項目。
え!やっぱりブドウ糖が少なかったの?・・・・・というと違うんですよね~。
Aさんのレチクロをみると基準値上限、一般的数値の3倍の数値。
*レチクロ・・・・赤血球の赤ちゃんのことね。
つまり、赤血球の寿命が短くて、2ヶ月くらいで早々に赤血球が壊れているから
急いで造血してなんとかしのいでいる状態!てこと。
ブドウ糖がくっつく時間もないほど赤血球は壊れていたんです!
溶血と言います。
その証拠にビリルビン値も高かったのでした。
*ビリルビン・・・古い赤血球のお片づけ
医師でも読み取るのはちょっと難しいパターンだったかも・・・。
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9月1日より受付開始いたします。
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